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【臨床心理士がやさしく解説】第21回「子どもたちへ「力の物差し」を手渡す」

2024.11.18

こんにちは、発達支援Laboランプです。

ここでは、定期的に療育支援に関連するテーマについて、理論的な背景と合わせて発信をしています。

今回のテーマは「子どもたちへ「力の物差し」を手渡す」です。

子どもたちの様子を見ていると、たとえば先生を呼ぶ時や、友達にこっちを向いてほしい時などの場面で相手の肩や身体をトントン、と叩いたり、引っ張ったり…。そんな時「やり方は間違ってないんだけど、ちょっと強過ぎるんだよな…」と思うことがありませんか?
発達に配慮が必要な子どもたちにとって、自己の力を理解し調節する能力は、その成長において極めて重要です。「力の強弱」を適切に使い分けることは、物理的な力だけでなく、感情表現や社会的相互作用においても役立ちます。このコラムでは、「力の物差し」という具体的なツールを用いる方法を提案します。

1,力の物差しとは何か?

「力の物差し」とは、子どもが自分の力を客観的に理解しやすいように設計された視覚的ツールです。このツールを用いることで、子どもは自分自身の行動や感情の強度を「見える化」し、適切な調整が可能になります。具体的には、色の濃淡や線の太さで表現することで、子ども自身が自分の感情や力の加減を認識しやすくなります。

2,学びの場面での活用法

このツールを活用する一つの方法として、感情表現の活動があります。子どもたちに様々な感情を「力の物差し」で色や線の太さを使って表現させることで、感情の強度を自ら調節するトレーニングを行います。また、友達とのコミュニケーション中にもこの物差しを思い出し、声の大きさや話す速度を調整することで、よりスムーズな対話・やりとりが可能になるでしょう。

また、物理的な力の調整にも役立ちます。例えば、粘土を使った活動で、異なる力で押すことで、その結果の違いを学ぶことができます。子どもたちが自分で力の加減を試しながら、何が最適なのかを理解することができるのではないでしょうか。

3,効果的なフィードバックの提供

「力の物差し」を導入する際には、保護者や周囲の大人からの適切なフィードバックが不可欠です。子どもが力の加減を試す中で、正確で建設的なフィードバックを提供することで、彼らの自己調整能力を効果的に育てることができます。具体的な振る舞いに対して明確な指示として伝えることで、子どもは自分の行動をより良く理解し、次第に自立した判断へと繋がっていきます。

まとめ

「力の物差し」の導入は、発達傾向のある子どもたちにとって、自己理解と調整の重要な手段となり得ます。このようなツールを通じて、子どもたちは自分の力を適切にコントロールする方法を学び、日常生活や学校生活でのさまざまな場面において、そのスキルを活かすことができるようになります。親や教育者など、周囲の大人がこのプロセスをサポートすることで、子どもたちの社会的スキルや自己表現の能力が飛躍的に向上することでしょう。

以上のように、「力の物差し」は発達傾向のある子どもたちにとって、自己調整の強力なツールとなります。適切な指導と継続的なサポートにより、子どもたち一人ひとりの可能性を引き出し、彼らが社会で活躍するための基盤を築くことができるのではないでしょうか。

発達支援Laboランプとは

児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型事業所です。

◆心理士による専門的なアセスメントや介入
子どもの行動の背景にある動機を丁寧に観察し、より適切な行動につなげるためのアセスメントや、行動への支援を行います。

◆五感を全力で使った多彩な体験
事業所にある砂場や、水、土、草木、風など自然の中で子ども達の興味を広げ、豊かな情操を養います。

◆自然なやり取りの中でのソーシャルスキルの習得
小集団の活動の中での、子ども同士、また大人も含めた環境の中で自然なやりとりを経験します。

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