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【作業療法士がやさしく解説】怒ることのデメリットと怒らない伝え方

2024.11.29

はじめまして。作業療法士のさえさんです。

私は作業療法士(以下OT)として14年間、病院や児童発達支援・放課後等デイサービスで働いてきました。私生活では、4歳の女の子を育てる親でもあります。

このコラムでは、子どもの発達や支援について、私が仕事でご質問いただいたことや共有したいことをお伝えしていきたいと思います。

今日は、「怒ることのデメリットと、怒らない伝え方」についてお話したいと思います。
前回のコラム(子どもの集中力を伸ばしたい時に気をつけること)で少し触れました、怒ることのデメリットと怒らない伝え方について、お伝えしていきたいと思います。

怒ることのデメリット

怒ることのデメリット、それは「伝えたいことが正確に伝わらない(もしくは身につけて欲しいことが身につきにくくなる)」ことだと私は思っています。

今まさにこれを書いてる時、娘がお花はじきを落として床にばら撒きました。
(娘、空気読んだ・・・?)

娘は「やべっ」みたいな顔で私を見てます。「(あーーー)」と思いつつ、娘に一言。

「うん、一緒に拾おうか」

(これ書いてる時じゃなかったら「ねぇー!」って怒鳴ってたかもしれないですが・・・。)

ここで怒鳴ると、子ども的には「またママ怒った」「怖い」「早く終わらないかな」「そんな言い方しなくてもいいじゃん」みたいな気持ちでいっぱいです。
(はい、まさに私が子どもの頃そう思ってました。)

親が子どもに伝えたい、身につけて欲しいのは、自分がしでかしたことに対する対処法です。

その目的を明確にしていれば、大人がとる行動は「怒鳴る」ではなく「次にして欲しい行動を冷静に伝える」です。その方が、子どもが対応力を身につける可能性を上げることが出来ると思っています。

ただし、子どもが何かを身につけるのは時間がかかるので、次からすぐに行動出来る、ではないですが。(子育ては忍耐・・・)

でも、親怒鳴る→子ども怯えて泣くor逆ギレする→何も伝わらない→また同じことする、のループよりは前向きな関わりだと思います。

怒りとの向き合い方

怒りについてもう1つ。
そもそも、子どもが何かしでかさなくても、日々忙しい親御さんには怒りの「タネ」が沢山あります。仕事が上手くいかなかった、疲れてる、今日嫌なことがあった等々。そこに子どもが何かやらかしたりすると「何してるの!」と怒りスイッチが入ります。しかも「これはしつけ」という大義名分付きです。怒りはクセになりやすいので、「分かってるけど怒鳴ってしまう・・」という方も多いと思います。(というか、私もです。こんなコラム書いてるのにほんとすみません。)

そんなはずはない、怒らせる子どもが悪い、と思う方、同じことを他所の子がしたら怒鳴りますか?きっと、怒鳴らないと思います。自分の子には「怒鳴る」を選択して、他所の子には「怒鳴らない」を選択したのは何故ですか?
ひとつは、自分の子にはどんな言い方をしてもいい、自分が正しければどんな伝え方をしてもいい、という考えがあるのかな、と思います。あとは、親御さん自身がそのように育てられた、という背景もあるかと思います。

怒られてばかりだとどんな子に育つのか

怒鳴るのは便利な面もあります。子どもがすぐに言うことを聞きやすくなります。ですがその反面、親の顔色を伺う子、自信が無い子、怒られてからじゃないと動けない子、自分の怒りや悲しみの感情をコントロール出来ない子、に育つ可能性を上げることにも繋がると私は思っています。(その子の性格・感受性にもよるので絶対ではないですが)

それでも怒鳴るのを辞められないという親御さんもいらっしゃるかと思います。毎日本当にお疲れ様です。もしくは、自分は怒鳴られてきたのに自分の子が怒鳴られないのはずるい、という感情が湧く親御さんも、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

怒ってしまいそうな時

毎日お疲れの方は、自分で自分の機嫌を取る手段を増やして欲しいと思います。好きなものを食べる、1人時間を作る、好きなことに没頭する、等々。子どもに対してずるい、という感情が湧く方は、心の中にいる小さい自分をヨシヨシしてあげてください。怒鳴られたくなかったよね、怖かったよね、よく耐えたね、と伝えて慰めてあげてください。

それでもそれでも、怒鳴ってしまって罪悪感がある親御さんは、怒鳴る伝え方をしたことだけ、お子さんに謝ることをしてみて下さい。

「さっきは大きい声出してごめんね。ママ(パパ)疲れてて怒りたくなったんだ、でも大きな声で言われたら怖かったよね」と言ってみてください。

子どもが「うん、怖かった」とか言ってきたらそれはそれでイラッとするかもですが、「そっか」とだけ返せばいいです。子どもが親に素直に感情を伝えられるのは情緒的に健康な証拠です。また、親御さんが謝れるお家は、お子さんも自分から心からごめんなさいが出来る可能性が上がります。

日々のことですのでなかなか実行するのは難しい事もあるかと思います。私自身、決して立派な親ではありません。それでも、自分が悪いな、と思ったら子どもに謝ることができる親でありたいと思っています。怒らない、よりももしかしたら謝れる、の方が大事かもしれないですね。

ここまで読んでくださって、本当にお疲れ様でした。こんな長い文章を、子どものために読んでくれるあなたはとても素敵な親御さんです。

さいごに

ヒトツナでは、私を含め、複数の専門職が在籍しています。療育スタッフと専門職が連携することで、根拠のある質の高い支援を目指しています。

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