こんにちは。作業療法士15年目、もうすぐ5歳になる女の子の母、さえさんです。
普段は児童発達支援・放課後等デイサービスに勤務しています。
今回のテーマは「自己肯定感」と「自己効力感」です。
前半はこの2つの違いについて、後半はそれぞれの育み方について説明していきます。
自己肯定感と自己効力感の違い
自己肯定感とは「私は私のままでいい。長所も短所も全部自分」
自己効力感とは「自分は出来る!自分ってすごい!」
という感覚のことです。
この2つ、混同して考えがちだったりしませんか?というのも、私自身、この2つの違いを明確に知ったのは最近です。
恐らく、私みたいに自己肯定感と自己効力感を区別せず使っている支援者は多いのではないでしょうか(勝手にすみません。)
お子さんを療育する際は個別支援計画というものを作成しますが、「成功体験を増やし、自己肯定感を育む」という文章を書く方は多いと思います。私自身、何度もこのように書いていました。
とはいえ、出来ることが増えることは自分を好きになるための大事な要素ではあるので、この書き方が必ずしも間違い、ということでは無いかと思います。
ですが、成功体験はどちらかというと自己効力感と結び付きが強いように感じます。
自己肯定感は「成功してもしなくても私は私。私の価値はそれで貶(おとし)められることは無い」と思えることではないでしょうか。
でも思うのですが、自己肯定感でよくいう「ありのままの私でいい」ってどんな感覚・・?って、思いませんか?(私だけ?)
例えばなのですが、赤ちゃんって何しても可愛くないですか?(子猫や子犬でも良いですが)こういった子達がただ笑っているだけ、動いているだけで、周りは幸せな気持ちになるかと思います。こういった「私が私のままでいることで周りが喜ぶ」という感覚が自己肯定感、なんだそうです。
自己肯定感と自己効力感の育み方
次に、それぞれの育み方について説明していきます。
自己肯定感は「その子の感じ方を受け止めて認めて伝える」
自己効力感は「その子の成長の過程や結果を認めて伝える」
自己肯定感の育ちについては、その子の喜怒哀楽を認める、ということかと思います。楽しいなら「楽しいんだね」、怒っているなら「怒りたくなったんだね」と大人が認めます。逆に、大人が子どもの感じ方を否定してしまうと「私の感じ方はおかしいんだ」「私は何か間違っているんだ」と、自分の感じ方・在(あ)り方を肯定出来なくなります。
楽しいや嬉しいは共感しやすいかと思いますが、怒りや悲しみは共感しにくいと思います。だってそれで時間取られるの、正直面倒。親だって忙しい、我慢してる、わがまま言わないで。そんなふうに思ったりしませんか?
でも、子どもの感情に共感して言語化することは、「子どもが自分の感情をコントロールする力を育てられる」というメリットがあります。
幼いお子さんたちは、不快な気持ちを言葉で表現するスキルを持ちません。「(なんか不快!なんか嫌!ぎゃー!!)」で泣く、暴れる。この行動、親御さんからしたら困っちゃいますよね。
ここでお伝えしたいのは、「怒りや悲しみは感じていい。ただ、その表現方法は変えていけると良い」です。
「泣いて暴れる」から「言葉で表現する」にシフトするための手段、それが「感情に寄り添って言語化して伝える」です。
とはいえ、言語化して伝えたからって、すぐお子さんの泣いて暴れるが無くなる訳ではありません。だって大人だって急にキレて乱暴になる人、いますよね?
感情のコントロールに言葉は必須、でもすぐには身につかない、だから難しいですよね…
でも、「そんなことで怒らないの!」と叱り続けるよりは、怒りに寄り添って共感・言語化する方が、その子の感情コントロールのスキルを上げる関わりになると思います。また、怒りや悲しみを感じれないと、喜びや楽しさも感じれなくなると言われています。感情は全部大事、なんだそうです。(この辺りは私もまだまだ勉強中です)
また、お子さんが楽しいと思えることと親御さんが楽しいと思えること、必ずしも同じではないと思います。そういう時に「我が子が楽しいと思ってるんだから私も楽しまなきゃ!」と思うことはないです。
自己肯定感の育ちで大事なのは、お子さんの価値観と同じくらい、親御さんの価値観も大事にすることだと思っています。あまりお子さんに合わせようとすると、それも親御さんのストレスになってしまいます。
なので、「あなたはそれが楽しいんだね、教えてくれてありがとう」と伝えてみてください。親に(前向きに)関心をもたれている、というのも子どもの自己肯定感を育てます。(ただし過干渉は別の話です。これはまた次回以降に説明させてください)
自己効力感の育ちに大切なこと
次に、自己効力感の育ちについては、その子の頑張ったこと、その結果や過程を伝えてあげること、です。
ここで大事なのは「結果だけに注目しすぎない」ということです。
たとえば、テストで100点とるために自主学習を毎日30分する、という目標を掲げたとして、自主学習はしてたけど結果は95点でした。こんな時、あなたならお子さんになんて声掛けしますか?
私だったら、「100点には届かなかったけど、毎日自主学習出来てたね。頑張ったね。」
と伝えるかな、と思います。(様々な伝え方があると思います)なぜこういう表現をするのかというと、結果が伴わなくても、その子の努力がゼロになることはないから、努力出来たということも成長だし素敵なことなんだよ、と伝わって欲しいからです。
また、結果だけに注目することの怖さは「成功しないと認めて貰えない、愛して貰えない」と子どもに思わせてしまうことです。いわゆる、条件付きの愛情、というやつです。
ちなみに、良い子の自分しか愛されない、と思っている子どもは、失敗を隠す、挑戦しない行動をとる傾向が高いです。だって、上手くいかない自分は愛されないので、見つかるわけにはいかないからです。
最近は「25パーセントルール」なんて言葉もありますね。スモールステップで子どもを褒めて認めていく方法です。「褒め方 25パーセントルール」で検索すると出たりするので、ご参考ください。
そしてはい、そろそろ聞こえてきそうですね、「うちの子、全然頑張らないから褒めるとこなんてないんだけど・・・」のお言葉が。
そういった時は、「子どもの身体的な成長を褒める」をしてみてください。手が大きくなった、足が大きくなった、こんなに背が伸びた、などなど。今は写真や動画がたくさんありますから、小さい頃と見比べて伝えてあげるとより伝わるかもしれません。そして、「元気に育ってくれてありがとう」と伝えてみてください。
また、日常の小さなことに「ありがとう」を伝えるのもありかもしれません。本当に小さくていいんです。テーブルの向こうにあるお醤油とってくれた、お箸出してくれた、その一つ一つに「ありがとう」を伝えてみてください。親に感謝される自分、満更でもないのではないでしょうか。
さいごに
ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました。自己肯定感・自己効力感のお話でしたが、ぜひ親御さんご自身にも当てはめてみてほしいと思っています。
このコラム全部読めた自分すごい!とか、最後まで読めなくても、読もうと思った自分すごい!とか、今日は仕事で疲れた、よく頑張った!なにか自分にご褒美あげよう、何したい気分・・?って自分に聞いてあげるとか、あーイライラする!こんなに忙しいんだからイライラするに決まってる!私毎日頑張ってる!偉い!と褒めてみる、とか。
本当に、毎日お疲れ様です。最後までお読み頂き、感謝致します。
ヒトツナでは、私を含め、複数の専門職が在籍しています。療育スタッフと専門職が連携することで、根拠のある質の高い支援を目指しています。
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