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【新規開業】事業所のコンセプトづくり何を重視して決める?

2024.08.08

児童発達支援・放課後等デイサービス ヒトツナ フランチャイズ本部の遠藤です。

一般型の放課後等デイサービスは飽和状態と聞いたので、独自性のあることをやらなくてはいけないと思っています

開業相談をさせていただいていると、このようなお悩みを持たれている方からのご相談を聞くことがございます。

確かに、放課後等デイサービスを開業する上で、地域の需要と供給のバランスや、障害児通所受給者証の交付状況等を考慮して、ニーズの傾向について把握する必要はありますが、それは、「地域にある既存事業所と異なるサービスを提供すれば良い」という話ではありません。

放課後等デイサービスは、民間の参入(許認可)が認められているため、一定の基準の上でも独自性を出しやすい事業ですので、「事業」、「ビジネス」としての側面が強くみられますが、そもそも「福祉」という社会的機能があります。

「福祉」としての社会的機能つまり「役割」を理解して事業所をつくっていかなければならないのです。

児童発達支援・放課後等デイサービスの役割

児童発達支援は、大別すると、「本人支援」、「家族支援」、「移行支援」及び「地域支援・地域連携」からなる。事業所等は、主に就学前の障害のあるこども又はその可能性のあるこどもに対し、個々の障害の状態や発達の状況、障害の特性等に応じた発達上のニーズに合わせて本人への発達支援(本人支援)を行うほか、こどもの発達の基盤となる家族への支援(家族支援)を行うことが求められる。また、全てのこどもが共に成長できるよう、障害のあるこどもが、可能な限り、地域の保育、教育等を受けられるように支援(移行支援)を行うほか、こどもや家庭に関わる関係機関と連携を図りながら、こどもや家族を包括的に支援(地域支援・地域連携)していくことも求められる。
児童発達支援ガイドライン 2.(1)児童発達支援の役割 より

放課後等デイサービスは、大別すると、「本人支援」、「家族支援」、「移行支援」及び「地域支援・地域連携」からなる。放課後等デイサービス事業所は、学齢期の障害のあるこどもに対し、個々の障害の状態や発達の状況、障害の特性等に応じた発達上のニーズに合わせて本人への発達支援(本人支援)を行うほか、こどもの発達の基盤となる家族への支援(家族支援)を行うことが求められる。また、全てのこどもが共に成長できるよう、学校、特別支援学校、専修学校等(以下「学校等」という。)と連携を図りながら、小学生の年齢においては放課後児童クラブ等との併行利用や移行に向けた支援を行うとともに、学齢期全般において地域の一員としての役割の発揮や地域の社会活動への参加・交流を行うことができるよう支援(移行支援)を行うことも求められる。さらに、こどもや家庭に関わる関係機関と連携を図りながら、こどもや家族を包括的に支援(地域支援・地域連携)していくことも求められる。

放課後等デイサービスガイドライン 2.放課後等デイサービスの役割 より

令和6年度以降、求められる視点

令和6年度以降、児童発達支援・放課後等デイサービスの改定により、本人発達の「5領域」の視点をもち、総合的な支援を行っていくことが定められました。

5領域とは、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性からなり、どれか一つに特化した見方ではなく、総合的にこどもの状態を観察し、個別支援計画における本人支援に位置づけていくことや、プログラムの中でも5領域とのつながりを明確に持っていくことが求められるようになりました。

ですので、少なくとも一般型の児童発達支援・放課後等デイサービスを開業するためには、この5領域について十分な理解、知識をもち、アプローチできる技術がないといけないということになります。

集団・個別、どちらがいいか?

◆集団療育
こどもとこども、こどもと大人の相互の関わりの中で育ちあうグループワークを中心とした療育です。「預かり型」と言われることもありますが、お預かりしている時間の中で集団的活動と、個別的活動を組み合わせて行っていることもあります。

◆個別療育
一般的にマンツーマンで個室などで行う療育をイメージされると思います。
実際にその通りで、個別的な課題に対してカードやブロック、プリント等の教材を用いて行う机上課題形式や、運動療育でも1時間の個別型があります。
ほとんどのケースで、事業所による送迎ではなく保護者様と同伴で通園を行い、保護者様が一緒に支援をご覧になっていたり、別室でモニタリングするなどの形をとることが多いです。

児童発達支援・放課後等デイサービスの役割を果たす方法として、集団、個別、どちらの方法を選択するかは事業所の判断(コンセプト)によって異なることが認められています。

保護者様のニーズとしては、複数の事業所を使い分けている方もいらっしゃいますし、地域性の影響が大きいと思います。

例えば、夫婦共働きが多い地域では、送迎サービスがある事業所や一度の通所である程度の時間活動が担保される事業所の方が通いやすさがあったり、送迎をほとんど想定しないような地域(都心部等)では、保護者の方が一緒に来所される事業所が多くなったり、それぞれです。

ですから、開所する事業所の特徴を踏まえて、社会的機能としての役割を果たすことを考える必要があります。

短時間と長時間どっちがいい?

◆短時間
幼稚園や保育園を休まずに通えるため、幼稚園児のご家族さんたちに需要が高いです。14時頃まで幼稚園、あるいはお昼寝まで保育園に通所し、15時頃から1~2時間の短時間療育を受けるというのが今までの幼稚園ママたちの主流だったと思います。そのため、夕方15時以降の療育は、児童発達支援にとってはゴールデンタイムと言われるほどでした。

◆長時間
幼保未就園の子どもたちや、小学生以上はより長時間での預かりへのニーズはあります。ただ幼保未就園でも、0~2歳児さんは体力の面で長時間過ぎるかもしれませんが、幼保就園を目指して使っている方が多くみられます。放課後等デイサービスは、主に夏休みなどは出来るだけ長い利用が望まれます。

どちらがいい?と聞かれると、答えは「年齢によります」というのが一番大きな部分を占める回答になると思いますが、小学生以上でも、体力面やお子さんの特性によっては短時間を求めるケースもあります。

事業計画をつくる上で

これだけ事業所が増えた昨今では「差別化」、「特色」、「独自性」は必要と思われると思いますが、それは確かに間違いではないでしょう。

ですが、児童発達支援・放課後等デイサービスはそもそも「福祉」としての利用手続きが発生するため、ある程度、「不変」の要素があると考えます。

「時代」に合わせた発達支援は、導入する教材に対してではなく、日々研究されている発達支援に関する論文や文献を読み、特定の学派やメソッドの考え方に偏らず、総合的にこどもを見る目を養うことが最も大切なことです。

ある程度、その地域で求められる事業所の傾向(時間など)を抑えつつ、提供する支援についてはニッチな部分を探し、他社に勝とうとするよりも、保護者様のニーズを知り、事業所として当たり前のことを丁寧に積み重ねることこそが、事業所の強みになっていきます。