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【ヒトツナの療育】発達の最近接領域を踏まえた関わり

2024.08.10

児童発達支援・放課後等デイサービス ヒトツナ フランチャイズ本部 SV酒井です!

普段は直営教室でのマネージャー業に加え、グループ全体の研修、運営支援にあたっております。ポータルサイトでコラムを執筆するのは初めてですが、よろしくお願いします。

この記事で分かること

ヒトツナグループSVを務める酒井の記事では、ヒトツナが大切にしている療育方針やそのもととなる理論についてご紹介いたします。

今日は「発達の最近接領域」についてお話しいたします。

発達の最近接領域とは

⼦どもの⽬標を⽴てる時は「今出来ている事」をスタートに、 「まだ自力では難しいけれど、明⽇、先⽣や親等周りの⼤⼈と⼀緒に挑戦できそうな事」を⽬標にするのが ⼀番⼦どもの発達を促すと⾔われています。

・その領域のことを、心理学者のヴィゴツキーは、「発達の最近接領域(Zone of Proximal Development:ZPD)」と提唱しました。

ヴィゴツキーは、人の認識は社会文化的に規定されており、外的な対象を個人が自分のものとして取り込み、「内化」が進むことで認知発達が進むと捉えました。つまり、子どもの発達を考える際には「関係性」の視点が不可欠で、「子どもは他者や環境の影響(社会的相互作用)を受けて発達をする」というのが、ヴィゴツキーの理論の本質です。

子どもの発達とは

子どもの発達は、「できる」「できない」のように「0か100か」ではなく、未成熟から成熟に至る過程に、たくさんのステップがあるのです。そのステップを他者の力を借りながら1つずつ乗り越えて小さな成功を積み重ねていくことで、子どもは達成感を感じながら発達していくことができます。

また、一見「できていない」ように見えても、「そのステップを1段ずつ上っている途中なのだ」「成熟しつつある過程の途中にいるのだ」という視点でお子様をまなざすことの重要性も、この理論では示されていますね。

発達支援におきかえると

発達支援においては、できることを手伝いすぎたり、あまりに難度の高い課題を提示するのではなく、個々のお子様のこの領域を見極めて、事前の環境設定を行ったり、適切な量・タイミングでの補助をすることが求められています。

その大人が与える援助を、心理学者ブルーナーは「足場かけ(Scaffolding)」と表現しました。足場は、建設現場で建物が自立したら外すのと同じように、1人でできるようになったら少しずつ外していくものです。

成功体験の必要性

成功体験を積む」という言葉は発達支援の領域ではよく使われる言葉ですが、それは、「失敗しないように補助をたくさん入れましょう」「1人で出来る課題だけをやらせましょう」という意味でも「難易度の高い壁を頑張らせて上らせましょう」という意味でもありません。この発達の最近接領域から、「1人でできる」の段階へ移行させてあげることなのです。

それぞれの子どもの発達水準に適切な教育的働きかけを行うことが出来るのかどうかによって、子どもの発達は変化していきます。日々の支援においては、丁寧なアセスメントにより子どもそれぞれの「今ここ」の発達の過程を理解し、「必要な時」に「必要な分だけ」の足場をかけながら、子どもたちの小さな「できた」を作り出し積み上げていくことを意識していきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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