「知的障害」という言葉を聞いたとき、どんなイメージを持ちますか?
「勉強が苦手」「会話がゆっくり」「生活に支援が必要」など、さまざまな印象があるかもしれません。
けれど、意外と「正確な定義や内容は知らない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、放課後等デイサービスの現場で実際に子どもたちと関わってきた視点から、知的障害とは何かを丁寧に解説していきます。
知的障害の定義とは?【厚労省・WHOの分類をもとに】
知的障害は、以下のように定義されています。
「知的機能」と「日常生活能力(適応行動)」の両方に制限があり、発達期(おおむね18歳未満)に現れる状態
(参考:厚生労働省、WHO ICD-10・ICD-11)
具体的には、次のような基準があります。
- 知的機能の制限:IQ(知能指数)がおおむね70以下
- 適応行動の制限:言語・生活スキル・社会性などの領域で年齢相応の行動が難しい
- 発達期に現れること:先天的または幼少期からの特性であること
医学的には「知的発達症」とも呼ばれます。
知的障害の特徴とは?
知的障害のある方には、以下のような困りごとがみられることがあります(ただし個人差が大きいです)。
- 抽象的な会話や指示が理解しにくい
- 数の概念やお金の扱いが苦手
- 時間の感覚をつかむのが難しい
- 自己表現が言葉以外の方法になりやすい
- 状況判断や社会的ルールが理解しづらいことも
一方で、得意なことや好きなことに対しては集中力や継続力を発揮する方も多くいます。
知的障害の重症度分類(軽度・中度・重度)
知的障害は「IQの目安」と「適応行動の程度」により分類されます。
分類 | IQの目安 | 特徴例 |
---|---|---|
軽度 | 約50〜70 | 学習の遅れはあるが日常会話は可能。支援を受けながら就労も可能。 |
中度 | 約35〜49 | 単純な会話が可能。生活スキルは支援が必要。施設就労などの可能性あり。 |
重度 | 約20〜34 | 会話や生活において広く支援が必要。日常動作にも介助が必要なことが多い。 |
最重度 | 約20未満 | ほぼ常時の介護・医療的支援を必要とする状態。 |
※これはあくまで目安であり、個人によって必要な支援の内容は異なります。
※療育手帳の交付要綱は自治体ごとに定められて、その中でも区分の分け方が異なる場合がございます。
支援のあり方:できない部分ではなく、“できる環境”を整える
知的障害のある方が安心して生活できるようにするには、以下のような配慮が重要です。
✅ わかりやすい言葉で伝える(視覚的支援やスモールステップ)
✅ 繰り返しや予測可能な流れを大切にする
✅ できたことにしっかり肯定的な注目、フィードバックする
✅ 周囲の「わかろうとする姿勢」が何よりの支援になる
「できる/できない」ではなく、どうしたら“できるようになるか”を一緒に考えることが、共生の第一歩です。
おわりに:知ることから始まる共生社会へ
障害のあるなしに関わらず、自分の人生を豊かに充実させ、幸せに生きたいと願い気持ちは誰もが持っているものであり、それを満たすために日々生きているのが私たち人の暮らしです。
その人らしい世界を尊重し、必要な支援や配慮があることで、一人ひとりのウェルビーイングを目指すことが、福祉の役割であります。
まずは「知ること」。
それが誰かの生きやすさにつながると、私たちは信じています。
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