自閉症の基準とは
自閉症(ASD:自閉スペクトラム症)は、脳の働き方の違いによって、コミュニケーションや興味・行動に特徴が見られる発達特性です。診断基準には次のような要素があります。
- 社会的コミュニケーション及び相互関係における持続的障害
- 限定された反復する様式の行動、興味、活動
- 症状は発達早期に必ず出現するが、後になって明らかになることもある
- 症状が社会生活・職業・その他重要な機能に重大な障害を引き起こしている
自閉症の特徴的な行動様式
コミュニケーション面
- 目が合いづらい
- 共同注意(同じものに注意を向け合う)の遅れ
- 三項関係(自分・相手・対象物の3つを結びつけて共有する関係)の遅れ
- 言語理解の遅れ
- 心の理論(相手の気持ちや意図を想像する力)の困難
- 発話意図の理解が難しい
- 他者理解・自己理解の遅れ
こだわり・感覚特性
- 限定的な興味や強い関心
- 感覚特性(感覚の過敏/鈍麻)
- 同一性保持へのこだわり
- 規則性へのこだわり
- 常同行動(同じ動きを繰り返す)
なぜ「やり取り」が難しいのか?
心の理論との関係
「心の理論」とは、他者の思考や好みに寄り添い、理解しようとする力のことです。
これは、三項関係や共同注意といった日常のやり取りの積み重ねで育っていきます。
自閉症のあるお子さんは、その経験が得にくいため、心の理論の獲得が遅れたり、自発的に機能させることが難しい場合があります。
間主観的体験の不足
間主観性とは、「自分の体験」と「相手の体験」が、やり取りを通してつながる瞬間のこと。
簡単に言えば、気持ちや経験を共有している感覚です。
乳幼児期の言葉がない時期でも、視線・表情・声のトーンを通して感情や意図を共有します。この積み重ねが
「人と関わるのは楽しい」
「自分は理解されている」
という安心感につながります。
自閉症のお子さんは、この間主観的体験が育ちにくい傾向があり、それがやり取りの困難さに影響していると考えられます。
心の理論が弱いと起きやすいこと
- 発話意図を汲み取れず、誤解が生じやすい
- 一つの視点にとらわれ、切り替えが難しい
- 想像力で行動を補うことが苦手
- 初めてのことへの不安や抵抗感が強くなる
こうした難しさは、対人関係への強いストレスにつながり、結果として人との関わりを避けるようになってしまうこともあります。
その結果、さらに間主観的体験から遠ざかるループに入ってしまうことが、学童期以降の悩みの一つになります。
療育施設にできること
療育施設がまず大切にすべきなのは、安心できる環境の提供です。
そして、その中で支援者が意図的に「一緒に楽しむ」時間を持つこと。
行動スキルや学習の前に、
「人と一緒にいるっていいな」
という感覚を味わうことが、その後の社会性の土台になります。
まとめ
自閉症のあるお子さんのやり取りの困難さには、脳の働き方の違いや心の理論の発達、間主観的体験の不足など、複数の要因が関わっています。
支援者や周囲の人が安心できる環境をつくり、一緒に楽しむ体験を積み重ねることで、少しずつ社会性の芽を育てていくことができます。
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