こんにちは、作業療法士のたき先生です。
本日は、子どもの感覚について紹介していきます。
はじめに
私たちは普段、ほとんど意識することはないですが、何気なくたくさんの感覚を取り入れて、それを利用しています。
例えば、授業や会議の場面では、視覚や聴覚を使って、ホワイトボードを見たり、話を聞いたりしています。花や草木の匂いを感じる際には、嗅覚を使いますし、料理でハンバーグをつくる際には、崩れない程度のちょうどいい力を出すために、固有感覚という感覚も働いています。
その他にも…
・毛布の心地よさを感じる
・リンゴの硬さや甘さが分かる
・ポケットの中から手探りで鍵を探す
・ブランコや滑り台を楽しむ
これらも感覚が上手く働いているからこそ!
このように、私たちはたくさんの感覚と一緒に生活し、それを上手く取り入れることで、ちょうどよく、心地よく、安心して暮らすことができています。発達に特性のあるお子さんの中には、この感覚の処理が上手にできないお子さんも少なくありません。
そこで本日は、「感覚」に焦点を当てて、感覚の種類や、感覚統合という考え方を紹介していきます。
このコラムでわかること
1.感覚の種類
2.感覚統合とは
3.どうしたらいい?
4.さいごに
1.感覚の種類
感覚には「自覚しやすい感覚」と「自覚しにくい感覚」の2つのグループがあります。
自覚しやすい感覚とは、私たちが普段よく聞く5感と呼ばれるもので、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」が含まれています。
自覚しにくい感覚とは、傾きや加速度などを感じる「前庭感覚」、関節の動きや筋肉のハリなどを感じる「固有感覚」、そしてどちらにも含まれる「触覚」が含まれています。
これらの自覚しにくい感覚は、歩いたり、階段を登ったりする際に、バランスを取ったり、ちょうどいいところに足を置いたりと、無意識のうちに働いていることが多い感覚です。しかし、これらの自覚しにくい感覚は、脳の発達にとって重要な感覚でもあります。
自覚しやすい感覚
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(どちらにも含まれる)
自覚しにくい感覚
固有感覚、前庭感覚、触覚(どちらにも含まれる)
2.感覚統合とは
感覚統合とは、簡単に説明すると「脳に入ってくる様々な感覚をちょうどよく整理したり、まとめたりすること」です。
これは、駐車場の交通整理とよく似ています。
普通車やバイク、トラックなど、たくさんの車が入ってくる駐車場で、どこに駐車するのか、どのルートで進むのか、どう出ていくのか、等を整理することで、スムーズに車を進めることができますよね。その整理がうまくいかないと、車が渋滞したり、出るスペースがなくなったり、ぶつかって事故になったりするかもしれません。
これと同じように、子どもも感覚の整理がうまくいかないと、気にならない程度の音でも耳を塞いだり、揺れを過度に怖がったり、力加減が強すぎたり、動きすぎたりと、生活の中でトラブルが起きることがあります。
怖がり、わがまま、落ち着きがない…。このような困りごとの背景には、実は感覚のつまづきが隠されているかもしれません。
3.どうしたらいいの?
作業療法士は、そのお子さんの生活全体を捉えた、幅広い支援を行っています。ここでは、その一例を紹介します。
支援の場で
生活の中での困りごとが強いようであれば、作業療法士や理学療法士等の専門家に相談することをおすすめします。遊びを通して、客観的な評価を行うことで、お子さんの感覚面の特性や対応方法を保護者様と共有することができます。
家庭の中で
感覚統合は、日常の生活や遊びにより完成されていきます。そのため、様々な場所や様々なおもちゃ、様々な人との関わりを持ち、遊びの幅を広げていきましょう。子どもの知的好奇心を引き出して、「やってみたい」「楽しそう」と感じてもらうことで、さらに遊びを広げることができると思います。
・一緒に公園の遊具で遊ぶ
・お相撲等の身体を使った遊びをする
・お手伝いとして重い荷物を持つ
・料理の中で食材を触る、道具を使う
・ハサミやペンを使って工作をする
・いつも通る道で自然に触れる
このように、生活の中でも、できることはたくさんあります。是非、感覚統合についての書籍や、私のYouTubeチャンネル等を参考にして、お子さんとの楽しい遊びに繋げてみてください。
こどもの作業療法士たきのyoutubeチャンネルはこちら
4.さいごに
最後までお読みいただきありがとうございます。
ヒトツナでは、私を含め、複数の専門職が在籍しています。療育スタッフと専門職が連携することで、根拠のある質の高い支援を目指しています。
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