放課後等デイサービスを運営していく中で、人員配置に関する加算のひとつに 「児童指導員等加配加算」 があります。
この制度を正しく理解し活用することで、支援の質を高めながら収益の安定化にもつながります。
本記事では、加配加算の概要から算定要件、常勤専従と常勤換算の違いまでを詳しく解説します。
児童指導員等加配加算とは?
児童指導員等加配加算とは、基準上必要とされる人員に加えて、常勤または常勤換算で1名以上多く職員を配置した場合に算定できる加算です。
加算の趣旨は、常時見守りが必要な障害児への支援や、保護者への支援方法の指導など、支援の強化を図ること。
通常の人員配置以上に従業者を配置することで、それを評価し収益として加点する仕組みとなっています。
基準上必要となる人員配置
放課後等デイサービスにおける基本的な人員配置は以下のとおりです。
- 管理者:原則として常勤1名
- 児童発達支援管理責任者:常勤専従1名
- 保育士または児童指導員:児童10名に対して2名以上
この「保育士または児童指導員」の人数を基準よりも多く配置した場合に、児童指導員等加配加算の対象となります。
加配加算の区分(5段階)
児童指導員等加配加算には、配置する職員の経験年数や勤務形態に応じて5つの区分があります。
- 児童福祉事業等の経験 5年以上 の職員を 常勤専従 で配置
- 児童福祉事業等の経験 5年未満 の職員を 常勤専従 で配置
- 児童福祉事業等の経験 5年以上 の職員を 常勤換算 で配置
- 児童福祉事業等の経験 5年未満 の職員を 常勤換算 で配置
- その他の従業者を配置
👉 上位区分ほど評価が高く、加算額も大きくなります。
常勤専従と常勤換算の違い
常勤専従とは?
常勤専従とは、その事業所で 週の所定労働時間(例:週40時間)を満たし、かつ他の職種を兼務せず保育士または児童指導員の職務に専念 している職員のことを指します。
例えば「週5日×1日8時間勤務」で、児童指導員の業務だけに従事しているケースが常勤専従です。
常勤換算とは?
一方で常勤換算とは、1人で週40時間勤務を満たさない場合でも、複数の職員の勤務時間を合算して週40時間分とみなすことを指します。
例:
- Aさん:週20時間勤務
- Bさん:週20時間勤務
👉 合計40時間となり、常勤換算1名とカウントできます。
どちらを選ぶべき?
上位の加算を算定したい場合は、常勤専従での配置が理想的です。
常勤換算でも加算は可能ですが、経験年数や専従かどうかで加算額に差が出るため、経営計画の段階から「どの区分を目指すか」を設計することが重要になります。
配置できる職員の資格
児童指導員等加配加算に配置できる職員は、 保育士または児童指導員 という基準人員の決まりと若干異なり、以下の職員も算定上認められます。
保育士
国家資格「保育士証」を持つ職員。
児童指導員
以下のいずれかに該当する職員:
- 大学で社会福祉学・心理学・教育学・社会学を専攻し卒業した者
- 小学校・中学校・高等学校の教員免許を持つ者
- 幼稚園教諭免許を持つ者
- 社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持つ者
- 高卒以上で、児童福祉事業における実務経験が2年以上ある者
強度行動障害支援者養成研修 修了者
- 強度行動障害のある子どもに対し、専門的な支援方法を学べる研修の修了者。
- 直接支援に従事する場合、加算算定における従業者の一員として配置可能。
👉 研修修了以外に保育士や児童指導員に該当する資格や経験がない場合は、「基準人員」にはなれないため要注意。
機能訓練担当職員
- 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)など、リハビリ専門職。
- 基準人員含め総数の半数以上が機能訓練担当職員になることは認められないが、半数に満たない条件で配置することは可能。
児童福祉事業等の経験とは?
児童指導員等加配加算の算定区分を決めるうえで大きなカギとなるのが、職員の 「児童福祉事業等の経験年数」 です。
ここでいう「経験」とは、児童福祉法に基づいて運営される児童福祉事業が原則ですが、こども家庭庁より発出された令和6年度法改正時のQ&Aにおきまして、幼稚園(特別支援学校に限らない)、特別支援学校、特別支援学級又は通級での指導における教育の経験を含むものと明示されました。
(「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1(令和6年3月29日) 」)
主に該当する事業
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 保育所(認可保育園・認定こども園など)
- 児童養護施設
- 乳児院
- 障害児入所施設
- 母子生活支援施設
など、児童福祉法に定められた児童福祉施設・事業での勤務経験が含まれます。
「経験5年以上」は具体的にどのくらい?
ここでいう「経験5年以上」とは、単なる年数の通算のみならず、実際に勤務した日数(稼働日数)の積み上げによって評価されます。
実際に必要な年数及び日数とは、1年につき180日以上となり、5年以上かつ日数で900日以上の実務経験が必要です。
実務経験の証明方法は、勤務先から取得する実務経験証明書によって判断となります。
まとめ
児童指導員等加配加算は、単なる「人員を増やすためのコスト補填」ではありません。
支援体制を強化するための評価であり、利用者・保護者の安心につながると同時に、事業所にとっては収益の安定化につながる制度です。
- 基準以上の人員配置で算定可能
- 区分は5段階、経験年数と勤務形態によって加算額が異なる
- 上位算定を目指すなら常勤専従が理想
人員計画を立てる際には、加配加算の仕組みを理解した上で戦略的に活用していくことが、放課後等デイサービス運営の安定につながります。
制度や加算を活用した運営は、一人では難しいと感じる方も多いはずです。
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