「もう少し様子を見ましょう」
そんな言葉をかけられて、気づけば小学校。
落ち着かない、指示が通らない、友達とトラブルになる…。
実は、ADHDの特性が見られる子どもたちにとって、早期の支援介入はとても大切です
今日はその理由を、5つに分けてお話しします。
① 小さな経験が“脳のつながり”を作る時期だから
ADHDの子どもたちは、興味のあることには驚くほど集中したり、反対に注意がすぐ逸れたりします。
これは「集中する力がない」のではなく、脳の中で注意を切り替える仕組みがまだ育ちきっていなかったり、その育ちに偏りがあるのです。
でも安心してください。
幼児期の脳は、日々の経験によってどんどん新しい回路を作り出す柔らかさ(=可塑性)を持っています。
たとえば、
- できたときに一緒に喜ぶ
- 小さな成功を積み重ねる
- 感情のコントロールを少しずつ練習する
こうした日々の積み重ねが、脳のバランスを整える“育ちのチャンス”になります。
だからこそ、支援は「早ければ早いほど、発達の道筋を支えられる」ということになります。
② 問題行動が「二次障害」へと進むのを防ぐ
支援が遅れると、
「怒られる経験」「失敗体験」「自己否定感」ばかりが積み重なります。
その結果、不安障害・抑うつ・不登校・非行などの「二次障害」につながるケースも少なくありません。
早期に支援を受けることで、「できる体験」「認められる経験」を積み、
子どもの自己肯定感を守ることができます。
③ 「環境調整」が家庭や園・学校と連動しやすい
早期に介入することで、保育園・幼稚園・家庭・療育機関がチームで環境調整を進められるようになります。
たとえば、
- 視覚的なスケジュール提示
- 音・光・座席配置の工夫
- ルールや手順の「見える化」
など、日常のちょっとした工夫が行動を安定させる大きな助けになります。
発達障害は持って生まれた遺伝的要素でありながら、一方では環境との相互作用という考えも重要です。
こども自身を伸ばそう、変えようとするばかりではなく、まずはその子が出来る環境を整え、持てる力を発揮できるように調整していく事が大切です。
その為にも早期に支援につながることが重要だと考えます。
④ 自己効力感(自分はできる!という感覚)を育てる黄金期
ADHDの子どもは、失敗を繰り返しやすい特性を持っています。
忘れ物をしたり、じっと座れなかったり、感情が抑えきれなかったり…。
周囲の大人から「どうしてできないの?」と叱られる経験が続くと、
「どうせ頑張ってもムダ」「自分はダメなんだ」という気持ちを持ちやすくなります。
でも、早期支援で関わることで、この悪循環を断ち切ることができます。
これは、Barkley(2015)やBandura(1997)などの研究でも、「できた!」という経験が脳の報酬系を活性化し、学習意欲や自制心を高めることが明らかになっています。
療育や個別支援では、
- 「できたことを具体的に褒める」
- 「小さな成功を段階的に積み重ねる」
- 「うまくいく方法を一緒に見つける」
といった関わりを通して、子ども自身が**「やってみたらできた!」という成功体験**を積んでいきます。
この「できる感覚(=自己効力感)」は、のちに挑戦を続ける力や、感情を立て直す力にもつながります。
脳の報酬系がまだ発達段階にある幼児期に、“成功がうれしい”という感情と行動をセットで学ぶことができるのは、まさにこの時期だけ。
早期支援は、将来の学びや自立の「燃料」を満たすタイミングでもあるのです。
⑤ 保護者が「子育ての方向性」に安心できる
ADHDの特性は、親のしつけや愛情不足ではありません。
しかし、保護者は「自分のせいでは?」と自責の念を抱きやすいもの。
専門家と早くつながることで、
- 子どもの特性理解
- 家庭での声かけの工夫
- ストレスマネジメント
を一緒に学ぶことができ、家庭全体の安心感が増します。
「支援=子どもだけでなく、家族を支えること」でもあるのです。
まとめ|早期支援は「伸びるチャンスを広げること」
ADHDの子どもたちは、興味があることには集中できたり、独創的な発想をしたりと、豊かな個性を持っています。
早期支援は、その個性を抑えるためではなく、安心して力を発揮できる環境を整えるための第一歩。
「困りごとがある=支援のタイミング」
気づいた今が、その子の未来を変えるチャンスです。
ヒトツナグループでは、ADHDや発達特性のあるお子さんの「早期支援」に力を入れています。
気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
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