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走り回る子の対応を考え続ける ―「そのまま尊重したい」と「行動は減らした方がいい」のあいだで

2025.12.02

「教室を走り回ってしまう」ということがきっかけで
発達相談にみえられることは少なくありません。

そんなとき支援者として考えることは二つあります。

ひとつは、
「この子をそのまま尊重したい」
「今の姿を否定したくない」という気持ち。

もうひとつは、
「この行動は、将来この子にとって不利益になるかもしれない」
という、現実を見ているからこそ湧いてくる感覚です。

この二つは、どちらかが正しくて、どちらかが間違っているわけではありません。
むしろ、支援を本気で考えるほど、同時に存在してしまう葛藤だと感じています。

走らない方が、社会参加はしやすい

まず、はっきり言えることがあります。

走らない方が、社会参加はしやすい。

集団生活の中では、走らない、座って話を聞ける、順番を待てる。そうした行動が求められる場面が多いのは事実です。

だから「走らないようになること」自体をゴールとして設定することは、間違いではないのかもしれません。

ただ、その状態をどうやって手に入れるかや、それ以前に、そもそも本人がなぜ走り出してしまうかの根本的な理解が重要だと思っています。

本人を尊重したいけど「そのままでいい」と言い切れない理由

「この子らしさだから」、「今はこういう時期だから」
と、そのままのその子を受け止めることやこども本来の発達に合わせて見守ることも大切です。

しかし、本人が属する集団の傾向によっては、走り回ることで誤解されたり、注意されたり、集団から距離を取られたりすることが生じてしまいます。

その結果、「どうせ自分はうまくいかない」「自分はこの集団に居場所がない」という感覚を積み重ねてしまうとしたらどうでしょう。それによる弊害も大きいのです。

本人の将来に向かっての客観的な最善の利益

今のその子の育ちを知り、本人らしさを受け止め、その子の最善の利益を確かめる支援はこども支援の大前提にあります。

一方で、特性のある子の将来の自立や社会参加に向け、客観的な最善の利益と照らし合わせていくことも必要です。

「走り回る」という行動に関しても同様で、「今は○○な状態になると走る」という選択肢しかない子でも、将来の社会参加の選択肢を増やす為には走る以外の方法を獲得していくよう段階的に支援することが必要になります。

走り回る子の観察ポイント

走る、という選択をするのはなぜなのか

 ①やることがないから暇つぶし
 ②走るにまつわる楽しかった遊びの再現
 ③心のドキドキを落ち着かせている
 ④周りの反応が楽しくてやっている
 ⑤注意してもらいたくて走ってしまう

走る行動の前後や、事業所に通所してきたからのその子の言動、出来事、お友達を含めた周囲の環境すべてを踏まえて、「走り出した理由はこうかもしれない」と考察してみましょう。

選択肢や余暇を楽しむ方法が増えるということ

走る、という選択肢しかなかった状態から、他の選択肢を持てるようになると「走らなくても過ごせる時間が増える」ということに繋がります。

単に走るのを我慢させるということではなく、一人ひとりの理由に合わせて環境を整えたり、関わり方を含めた事前介入を試してみること。

その繰り返しと、本人の成長に伴って、少しずつ本人も過ごしやすい方法を見つけていければと思います。その為に、今の環境で精一杯出しているサインを拾い集めましょう。

葛藤し続けることも支援の一部だと思っている

正直に言えば、支援の場面での葛藤に明確な答えはありません。尊重したい気持ちと行動は減らした方がいいという現実。どちらかに振り切れた方がきっと楽です。

でも私は、その間で迷い続けることこそが、支援者としての誠実さだと思っています。今日のこの子にとって、 一番不利益が少ない選択は何か。 一番生きやすくなる関わりは何か。毎日考え直しながら関わる。

私は、そんな支援を続けていきたいと思っています。

正解を出さない支援を、現場で続けていくために

ヒトツナでは、
「こうすれば必ずうまくいく」という
一つの正解を押しつける支援はしていません。

子どもの行動の奥にある理由を考え、
尊重したい気持ちと、
将来の社会参加を見据える現実のあいだで、
迷いながら、対話しながら、支援を続けています。

それは簡単な運営ではありません。
でも、だからこそ
一人で抱え込まない仕組みを大切にしています。

ヒトツナのフランチャイズは、
理念だけを共有する関係ではなく、
現場の悩みを持ち寄り、
一緒に考え続ける仲間のネットワークです。

  • 子ども一人ひとりに向き合いたい
  • きれいごとではなく、現実と向き合った支援がしたい
  • 「正解がない」ことを前提に、学び続けたい

そんな想いを持つ方と、
これからの支援の形を一緒につくっていきたいと考えています。

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