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おもちゃの貸し借りが苦手なのはなぜ?発達の視点から考える関わり方

2026.06.10

「どうして貸してあげられないの?」

お友達と遊んでいるとき、おもちゃを抱え込んでしまったり、「イヤ!」と怒ったりする姿を見ると、保護者としては心配になりますよね。

しかし、おもちゃの貸し借りが難しいことは、必ずしもわがままやしつけの問題ではありません。

実は、貸し借りという行動には、子どもの発達に関わるさまざまな力が必要になります。

今回は、おもちゃの貸し借りが難しい理由と、ご家庭でできる関わり方についてお話します。

貸し借りは実は高度なコミュニケーション

大人から見ると「少し貸してあげればいいのに」と思うかもしれません。

しかし子どもにとって貸し借りは、とても高度な社会的スキルです。

貸し借りをするためには、

  • 自分の気持ちをコントロールする力
  • 順番を待つ力
  • 相手の気持ちを想像する力
  • 後で戻ってくると理解する力
  • ルールを受け入れる力

などが必要になります。

つまり貸し借りは単なるマナーではなく、感情・認知・社会性が組み合わさった発達課題なのです。

幼児期は「自分中心」で当たり前

発達心理学者ピアジェは、幼児期の子どもは「自己中心性」が強い時期であると説明しています。

自己中心性というのは、自分の見えている世界が相手にも同じように見えていると思いやすい状態です。

例えば、

「今自分が使っているから自分のもの」

という感覚は、とても自然なものです。

大人のように、

「お友達も使いたいかもしれない」

「少し貸しても後で戻ってくる」

と考えることは簡単ではありません。

そのため、貸し借りがうまくできないこと自体は発達上よく見られる姿です。

発達特性のある子はさらに難しく感じやすい

発達障害や発達特性のあるお子さんの場合、さらに難しさが見られることがあります。

例えば、

  • 見通しを持つことが苦手
  • 切り替えが苦手
  • 強いこだわりがある
  • 待つことが苦手
  • 不安が強い

といった特徴がある場合、

「貸して」

という言葉は、

「今すぐ大好きなおもちゃを失う」

ように感じられることがあります。

その結果、泣いたり怒ったりすることがあります。

これは相手を困らせたいのではなく、不安や困り感の表現であることが少なくありません。

「貸してあげなさい」は逆効果になることも

貸し借りを教えようとして、

「貸してあげなさい」

「順番でしょ」

「我慢しなさい」

と声をかけることがあります。

もちろんルールを教えることは大切です。

しかし、子ども自身が状況を理解できていない状態で無理に手放させると、

  • おもちゃへの執着が強くなる
  • 人との関わりが嫌になる
  • パニックや癇癪につながる

ことがあります。

まずは「なぜ難しいのか」を理解することが大切です。

ポイントは「順番」を見える化すること

子どもにとって時間や順番は目に見えません。

そのため、

「あとでね」

「次ね」

と言われても理解しづらいことがあります。

そこで効果的なのが、順番の見える化です。

タイマーを使う

タイムタイマーなどを使い、

「赤い部分がなくなったら交代」

と伝えます。

終わりが見えることで安心して待ちやすくなります。

「あと○回」を使う

「あと3回遊んだら交代」

と具体的に伝えます。

遊ぶたびに丸を消したりシールを貼ったりすると、順番が視覚的に理解しやすくなります。

順番表を作る

「いま」「つぎ」「そのつぎ」

を写真やイラストで示します。

自分の順番がいつ来るのかが分かることで、不安が軽減されます。

受け渡し場所を決める

使い終わったおもちゃを置く場所を決めることで、

「終わったら次の人へ」

という流れが分かりやすくなります。

大切なのは「貸せること」ではない

支援の中で私たちが大切にしているのは、

「貸せる子にすること」

ではありません。

本当に大切なのは、

安心して人と関われること

です。

安心感があるからこそ、

  • 待てる
  • 譲れる
  • 順番を守れる
  • 相手を受け入れられる

ようになります。

貸し借りはゴールではなく、人との関わりを学ぶための一つの経験なのです。

まとめ

おもちゃの貸し借りが難しい子どもを見ると、「社会性が育っていないのでは」と不安になることがあります。

しかし、多くの場合は発達の途中にある自然な姿です。

大切なのは叱ることではなく、子どもが理解しやすい環境を整えることです。

順番を見える化し、安心して待てる経験を積み重ねることで、貸し借りの力は少しずつ育っていきます。

焦らず、一歩ずつ。

子どもの「できた」を積み重ねていきたいですね。

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今回ご紹介した「順番の見える化」のように、子どもを叱るのではなく、環境を整えることで行動の変化を促す支援は、多くの発達支援現場で実践されています。

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