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【臨床心理士がやさしく解説】第7回「障害における医学モデル・社会モデル・ICFモデル」

2024.10.02

こんにちは、発達支援Laboランプです。

ここでは、定期的に療育支援に関連するテーマについて、理論的な背景と合わせて発信をしています。

今回のテーマは「障害における医学モデル・社会モデル・ICFモデル」についてです。

発達障害のみならず、障害に関する考え方には、「医学モデル」「社会モデル」「ICFモデル」の3つがあります。これらの考え方は、障害の捉え方や支援方法にとても大きな影響を与えます。生きづらさを感じる子どもたちを支援する上で、これらの理解は非常に大切です。以下、それぞれのモデルと利点、欠点について考えていきます。

1,医学モデル

医学モデルは、障害を身体や心の問題として捉え、医療やリハビリテーションによって「治す」ことを目指していきます。

利点

〇医学モデルは、薬物療法や言語療法等の具体的な治療法や、リハビリを提供します。

〇治療が科学的な根拠に基づいているため、効果が期待できます。

〇早期の診断・治療により症状の軽減や機能の改善が可能です。

欠点

〇障害を個人の中の問題として捉えるため、本人への負担が大きくなってしまいます。

〇また、社会環境や障害を取り巻く要因が考慮されにくいという面があります。

2,社会モデル

社会モデルは、障害を社会の作り出す問題として捉え、環境や制度が変わっていくことで障害をなくしていくことを目指します。

利点

〇社会全体が本人を支援し、バリアフリーな環境を整備していきます。

〇権利や平等性が強調されます。

〇障害の原因を「社会全体の問題」とし、根本的な解決を目指していくことができます。

欠点

〇社会的要因に焦点を当てるため、医療やリハビリの重要性が軽視されてしまうことがあります。

〇社会全体を変えるには莫大な時間とコストがかかるという実現の難しさがあります。

〇社会全体に責任があるため、具体的な支援がとても曖昧なものになることがあります。

3,ICF(国際生活機能分類)モデル

ICFモデルは、WHO(世界保健機構)が提唱する考え方で、障害を個人と環境の相互作用として捉えます。

利点

〇個人と環境の両方に注目し、包括的に評価します。

〇個人の生活全体を見据えた支援が可能です。

〇障害を連続的に捉えるため、個々の状況に応じた支援ができます。

欠点

〇評価や支援計画が複雑で、時間がかかることがあります。

〇このモデルの活用には、専門的な知識が求められます。

〇理論は優れていますが、現実の支援においては、実践が難しい場合があります。

障害に対する考え方は、医学モデル、社会モデル、ICFモデルとさまざまです。どのモデルがいい!というものでもなく、それぞれのモデルには利点・欠点があるようです。医学モデルは治療に焦点を当て、社会モデルは社会環境の改善を目指し、ICFモデルは総合的な支援を提供します。保護者や支援者、周囲の大人がこれらのモデルを理解することで、子どもに最適な支援を見つける手助けに繋がるのではないでしょうか。

発達支援Laboランプとは

児童発達支援・放課後等デイサービスの多機能型事業所です。

◆心理士による専門的なアセスメントや介入
子どもの行動の背景にある動機を丁寧に観察し、より適切な行動につなげるためのアセスメントや、行動への支援を行います。

◆五感を全力で使った多彩な体験
事業所にある砂場や、水、土、草木、風など自然の中で子ども達の興味を広げ、豊かな情操を養います。

◆自然なやり取りの中でのソーシャルスキルの習得
小集団の活動の中での、子ども同士、また大人も含めた環境の中で自然なやりとりを経験します。

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